第63章 敗北ばかりの調査兵団
こんなに心強い仲間達がいるのだ。
敵が前からこようと、後ろからこようと関係ない。
クレアは少しオーバーに音を立てながら水を汲んだり顔を洗ったりして、この辺りを捜索している憲兵に見つかるのを待った。
「動くな!!」
すると、そこまで待たずに声をかけられた。
背後から若い男の声だ。
だが、足音からすると2人いる。
「両手を上にして立て。」
「…………」
クレアは黙って言われた通りに動いた。
「ゆっくりこっちを向け!!」
「……………」
振り返ると、やはり2人の兵士が銃を構えていた。1人は女だ。
「…!??お前は…調査兵団……だな?」
自由の翼の紋章は無いが、私服でも立体機動装置を装備しているため、ひと目見れば現在指名手配中の調査兵だというのは一目瞭然だ。
しかし立ち上がり、振り向いたのは、小柄で華奢な女だった。
大きくて蒼い瞳に迷いや戸惑いは伺えず、真っ直ぐと男を見つめている。
顔を洗っていたのだろうか。
腰まで伸びた艷やかな髪の毛が、川の水で濡れてポタポタと水滴を落としている。
無防備に両手を上げているこの女は木々の間からの木漏れ日があたり、キラキラと光る神秘的な印象を2人に与えた。
あまりにも兵士らしくない容姿からか、少ししどろもどろになったが、男はかぶりを振ると、銃を構えたまま命令を続ける。
「そうだ、声を出すなよ?そのままの姿勢で指示通りに……」
「…………」
勿論だが、このままおとなしく拘束されるわけにはいかない。
クレアは静かに視線を上に向けると、木の上に身を隠していたリヴァイとミカサにアイコンタクトを送った。
銃を構えた状態で自身に注目している今がチャンスだ。
ドサッ!!!!
「そうだ、ゆっくり銃を前の奴に渡せ…!!」
「う、うぅ……」
リヴァイとミカサの一撃により、一瞬で形勢逆転となった。