第63章 敗北ばかりの調査兵団
「…おわかりだと思いますが、声は出さないで下さいね。」
クレアが2人から銃を取り上げると、今度は憲兵の方が両手を上げて静かに頷いた。
「…兵服と装備を一式置いていけ。ブーツもだ。安心しろ靴を交換してやる。」
コニー達が周りに目を光らせてる間に2人の装備を取り上げると、ミカサとアルミンが憲兵になりすますために素早く装着を始めた。
憲兵団に潜り込んでエレン達の居場所を探り出す。
言い出したリヴァイでさえも、“もうこんな事しか思いつかねぇとは…”と改めてため息をもらしてしまう。
しかし、どの道時間はないのだ。
ハンジ達はハンジ達なりに動いてはいるだろうが、もたもたしていたらエルヴィンが処刑台行きになってしまう。
もう短期決戦に懸けるしかないのだ。
リヴァイは2人の身分証明書を手に取ると中を開いて読み上げた。
「ストヘス区憲兵支部所属、マルロ・フロイデンベルク二等兵…」
「はい…」
「同じく憲兵支部、ヒッチ・ドリス二等兵…」
「はい…」
「共に104期の新兵か…所属もストヘス区のみ。相変わらず新兵ばかりに仕事が押し付けられる風習は健在らしいな。」
憲兵団の変わらない怠慢ぶりを再確認していると、ミカサとアルミンの準備が整った様だ。
「準備できました。」
「よし…ストヘス区の現場にはまだ中央憲兵がいるはずだ。それらしき人物を捕捉して手掛かりを掴め。」
「「了解!!」」
ミカサはいつも通りの鋭い表情だ。
だが、アルミンの顔もミカサに負けず迷いのない闘志の炎を滾らせている。
昨夜のリヴァイの言葉で色々と悟ったのだろう。
もう心配はいらなそうだ。
「憲兵の山狩りの範囲が伸び切った後に決行する。いつでも出られるよう馬の準備をしろ。…さて…マルロ、ヒッチ…お前らだが…」
その言葉に2人の肩がビクリと跳ねる。
リヴァイは今から自分達をどう処分するのかを説明するのだろうか。