第63章 敗北ばかりの調査兵団
「はい…!!」
リヴァイの言う通り、実にシンプルな作戦だったがここまで追い詰められてはこれしかないだろう。
皆、覚悟を決めて返事をしたが、クレアは1つ疑問がありリヴァイに問いかけた。
「兵長、ハンジさん達はどうしますか?」
ハンジはエレンの見た夢の話を聞いて、あの関所から飛び出してからまだ連絡が取れていなかった。
「ハンジはハンジで動いてる。エルヴィンの所に行ったのなら、中央の奴らに連行されるのを見てるはずだ。その周辺で何かしら動いてるだろう。互いの目的の終着点は一緒なんだ。命さえ無事ならどこかで合流するはすだ。だからこっちはこっちでできる事をする…」
「承知しました…!!」
2人の安否を心配していたクレアだったが、あのハンジがエルヴィンの連行を黙って見ているはずが無い。
きっと調査兵団の身の潔白が証明される様な、またはエレンとヒストリアの行方を突き止める様な情報を求めて走り回ってるに違いない。
今は信じて、リヴァイの命令通り、自分達のすべき事をするまでだ。
クレアは敬礼で答えると、すぐに104期と共に準備を始めた。
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クレアは川辺に着くと、マントのフードを被り両手に持っていた桶を川の水で洗い始めた。
複数人での逃亡には水や食料が必要だ。
逆の立場で考えると、憲兵の人間は川沿いを中心に自分達を探してるはず。
リヴァイとアルミンの予想が一致すると、すぐに全員で川辺まで移動した。
クレア1人の様に見せかけて、周りには仲間達が身を潜めている。
「……………」
無防備に膝をついているが、不思議と怖くはなかった。
クレアは出発前に、サシャとコニーからも、ジャンと同様に路地裏で話した件について謝罪をされていたのだ。
リヴァイに向けられていた不信感の様な負の感情が全て払拭され、リヴァイ班の間に流れる雰囲気は以前よりもずっとクリアで心が1つになった感じだ。