第63章 敗北ばかりの調査兵団
「はぁ……、あの無自覚鈍感奇行種が……」
太陽の様に眩しい笑顔を向けられて、何も感じない様な馬鹿者ではない。
リヴァイはある一点に熱が集中しかけたが、なんとかかぶりを振り発散させると、盛大にため息をつきながら日が昇りきるまで見張りを続けた。
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そして、リヴァイが見張りを終えて小屋に戻ると、104期は全員起床して馬の世話を、クレアは食事の準備をしていた。
食事の準備といっても昨夜食べた野戦食に、申し訳程度の根菜を使ったスープだけだ。
だが、1日の始まりである朝食。
質素なスープでもあるのとないのでは大きな違いだ。
「お、おはようございます!!」
「リヴァイ兵長…おはようございます…」
リヴァイが戻って来ると、今度はミカサが銃を持って出ていった。
「兵長、今日からエレン達の捜索を始めますか?」
朝食を囲んでると、ジャンがリヴァイに問いかける。
エレン達を奪還しなければならないのはリヴァイも承知の上だが、相手側には手強いどころの話ではないケニーの存在が明らかになった。
そのせいで、昨日はニファ達が殺害され、エレン達をも奪われるという最悪の展開になってしまったのだ。
もう万策尽き果てているような状態だ。
「あぁ…勿論エレン達の捜索を最優先だが…一体どんな策でいくかが問題だ…」
もう、誰一人として死なせるわけにはいかない。
リヴァイは少し頭を悩ませると、少し重い口調で話し始めた。
「中央第一憲兵はエレン達の誘拐には成功したが、奴らの目的はそれだけではない。調査兵団そのものを潰す気できている。実際、リーブス商会の3人は俺らが殺した事になっていてエルヴィンは連行されちまったからな。って事は奴らは俺らの居場所を血眼になって探しているはずだ。全員処刑台送りにしなくてはならないからな…まぁ、使い古されたやり方だが、俺らを追っている連中を逆にこっちが捉えて奴らの本拠地を聞き出し乗り込む。もうこんな事くらいしか思いつかねぇが、それでも悪い作戦でもねぇ…食い終わったら早速準備をするぞ…」