第63章 敗北ばかりの調査兵団
この身体は何度も抱きしめてきた。
愛しいと思った時、悲しんでる時、欲情した時……
とにかく数え切れない程だ。
そしていつも思う。
この腕で抱きしめるクレアの身体はなんて細くて小さいのかと。
こんな小さな身体で懸命に戦い、懸命に笑って、懸命に仲間を想って涙を流す。
何事にも真っ直ぐすぎるクレアは、いつか自身を取り巻く感情の重さで消滅してしまうのではないかと不安に思ってしまう程にだ。
だから大きな重圧でクレアが消えてしまわない様に、リヴァイはただひたすらにこの小さな身体を抱きしめてやる事しかできない。
でもこうしてやれるのは自分だけ。
深く抱きしめて、その気持ちが落ち着くまで側で寄り添えるのは自分だけだ。
リヴァイは俯いて泣いているクレアの両頬を包んで顔を上げると、月明かりに反射した涙はキラリと光り、その蒼い瞳は潤んだ涙で揺れていた。
「へいちょう……」
今にも消えてなくなってしまいそうなか細い声で名前を呼ばれてしまえば、考えるより先にその唇に深い口付けをしてしまう。
誰よりも大切で、大事で、愛しい……
クレアの悲しみを少しでも共有したくて、何度も何度もその小さな唇を貪った。
「ふぅ……んん…、ふ……んん……」
クレアは突然の口付けに頭が真っ白になったが、強く自身を抱きしめながら重ねられた唇は、大好きなリヴァイの唇だ。
口内で交わる舌は、クレアの中にある悲しみを粘膜ごと絡め取ってしまうかの様に優しく優しく触れる。
熱くて甘い口付けに、必死にリヴァイの腕にしがみついていたクレア。
気づけば涙は止まっていた。
「へい…ちょう……」
「落ち着いたか……?」
「はい…すみませんでした……」
リヴァイの優しさに触れて少し気持ちが落ち着いたクレアだったが、まだリヴァイの側にいたかった。
小さく答えると、今度はクレアがその小さな手をリヴァイの背中に回して抱きついた。