第63章 敗北ばかりの調査兵団
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深夜
クレアは見張りの順番がやってきたため、静かに身体を起こすとそっと小屋の外へ出た。
「ジャン、おまたせ…交代よ。」
「あ、クレアさん…」
クレアはジャンを見つけるとその前に立ち、銃を受け取ろうと手を前に出した。
「………??」
だが、黙ったままのジャンを不思議に思い、首を傾げてしまうクレア。
気不味そうに視線を泳がせている目を見つめたまま様子を伺ってると、ジャンは重々しく口を開いた。
「クレアさん…すいませんでした……!!」
「え?!」
そう言っていきなり頭を下げたジャン。
何に対して謝罪をされているのか分からなかったクレアはどうしたものかと戸惑ってしまう。
「ど、どうしたの…?いきなり…」
「リヴァイ兵長の事です…ストヘス区の裏路地で俺…クレアさんの気持ちも考えずに失礼な事言って…結局は自分の考えが甘かっただけなのに…兵長のせいにして…今俺がここでこうしていられるのは、兵長にクレアさん、ミカサにアルミンが命をかけて戦ってくれたおかげに他ならないのに。」
「そんな…兵長だってジャンの気持ちは理解していたし、ジャンだってあんなに謝ったじゃない。もう謝る必要ないわ。ほら…顔上げて?」
「さっきの事だけじゃありません…」
「…え?」
「あの時、あの路地裏でクレアさんが話していた兵長の事…今更ながら理解できたと思います。もっとちゃんと貴女の話を理解できていたなら…アルミンをあんな目に遭わせずに済んだんです。今更気づいても遅いのにと、俺…後悔しています。兵長の判断は正しくて…そして班員想いの方だと…やっと分かりました。次はもうしくじりません…」
「ジャン…」
「コニーもサシャも同じ気持ちなはずです…」
そう言って銃をクレアに渡すと、ジャンは小屋の中へと戻ってしまった。