第63章 敗北ばかりの調査兵団
どうやらリヴァイの縫合処置に興味を持ったようだ。
「そ、そう…??ありがとう…」
「お医者さんの家系ってすごいんですね…」
「私は一人娘だったから、子供の頃から診療所を継がせるために色々と仕込まれたの。だからもう、縫合くらいならなんてないわ。」
すると、そんな会話をしていた2人が気になりコニーとジャンも覗きこんできた。
「なんでこんなに早く縫えるんすか?」
「スゲーな……」
「あら?縫合は訓練兵団で実習やったでしょ?」
当たり前だが訓練兵団では心肺蘇生法から傷の応急処置など、座学や実習で一通り習う。
なので、そこまで珍しいモノではないとクレアは思ったのだが…
「そりゃ、一応やりましたけど…模型を使った実習1回でしたからこんなに手早くはできませんでした。それに、コニーは模型の肉えぐって縫ってましたし…」
「余計な事言うな!」
「…確かに実習っていっても1回だけだったし、実際にやるのとはわけが違うもんね…どう?サシャ、やってみる?」
「えぇ?!私がですか?」
サシャは普段は食べ物の事ばかりだが、勘が鋭く、馬の脚のケアもうまい。
手先も器用だ。
縫合処置ができる人間は多いにこした事はないが…
「おい…俺を実験台にするな…!」
「ご、ごめんなさい!!!」
間髪入れずリヴァイからノーサインが出てしまった。
すると同時にミカサが戻ってきて、持っていた銃をジャンに渡す。
「見張り、交代…」
「あぁ、分かった…アルミンは…?」
「……まだ外。」
「…そうか。」
アルミンは自分のヘタな正義感のために、代わりに憲兵を殺すハメになってしまった。
自分のした事の責任は重大だ。
重く息を吐くと、銃を受け取りジャンは小屋から出て行った。