第9章 駈けだす想い
クレアは熱いシャワーを浴びて身体を洗うと、いくらか気分も落ち着きを取り戻してきていた。
シャワーから上がり、タオルをだすと、バックの中から香油の瓶がでてきた。
いつもは引き出しにしまっているものだ。
わざわざフレイアが入れてくれたのだろうか。
そんな事を考えながら急いで着替えを済ませた。
医務室の方に戻ると皆クレアが出てくるのを待っていた様だった。
「クレア、少し顔色が戻ったみたいだな。話をしても大丈夫かな?」
「は、はい。」
ソファに腰掛けると、団長から今後の話をされた。
「2人の処罰については今夜幹部会議で話し合い、結果は明日の朝の訓練前に各班長から班員に伝達させるつもりだ。壁外調査前に新兵が2人も強制退団となると、隠し通すのは不可能だからね。今後の再発防止の戒めにもしたいと思ってる。もちろん被害者の名前は出さない。了承してもらえるかな?」
「はい…ですが、今回の事故には私にも落ち度があったのではと思っております…ハンジさんや兵長からも…」
「クレア!」
エルヴィンがクレアの言葉を遮り、小さな肩に両手を置くと、真剣な目で見つめた。
「例え君に落ち度があったにせよ、なかったにせよ、あの2人の犯した罪は到底許されるものではない。だからクレアは今回の事件について自身を責めることは絶対にしないでくれ。」
ハンジやリヴァイもエルヴィンの話に同調するような表情をしている。
こんなにも自分のことで心配をかけてしまったのだ。
今のクレアにできることは、1日も早く立ち直ることのみ。
「ありがとうございます。公表することに異論はありません、どうかもうこの様なことが起こらないとこを願うばかりです。」
「よかった。ありがとう。それとクレア、明日は朝の体調で訓練にでるかどうか決めてくれ。先生からは特に訓練の制限はしなくても良いと言われたよ。そのかわり、今日は早く休んでくれ。」
「はい、わかりました…」
話が終わると、エルヴィンとリヴァイは医務室を出ていった。
「クレアくん、これが吐き気どめの薬だよ。あと、念の為睡眠薬もだそうか?」
「いいえ、大丈夫です。」
クレアは出された吐き気どめの薬を飲むと、荷物をまとめて自室に戻る準備を始めた。