第63章 敗北ばかりの調査兵団
「そんな……」
ニファ達が殺されたなんて…
ついさっきまで会話をしていたニファ達。
その3人が殺された。
巨人にではなく、中央第一憲兵の人間に…
クレアの手綱を握る手が、変な汗をかき震える。
「お前ら、今は生きてここを切り抜ける事だけを考えろ!」
「………!?」
リヴァイの言葉でハッと我に返るが、その胸の中は不穏に揺れていた。
「アルミン、左側から最短で平地を目指せ。」
「はい!!」
「サシャとコニーは馬を牽引しろ!!」
「「はい…!!」」
「ジャン、荷台から銃で応戦しろ!」
「了解しました…!」
「ミカサとクレアと俺は立体機動で逃走の支援だ!」
「はい…」
「リヴァイ兵長、エレンとヒストリアはどうするつもりですか?」
「他の手を探すしかねぇだろ。それも俺達がこの場を生き延びる事ができたらの話だ!」
「…………!!」
エレンの事になると冷静さを失う傾向にあるミカサだがリヴァイの言う通り、この場を生きて切り抜けられなければエレンどころてはない。
ミカサはリヴァイの命令に従うしかないと必死に自身を納得させた。
「それと、全員頭に入れておけ。殺せる時は殺すんだ。分かったか?」
中央第一憲兵は本気で殺しにきている。
殺らなければ殺られてしまうのだ。
「「了解しました……」」
その理屈は分かってはいるが、その命令にすぐ返事をする事ができたのはクレアとミカサだけだった。
「兵長!!来ました!右前方より複数!!曲がります!!」
「クレア!ミカサ!行くぞ!!」
「「はいっ!!!」」
あの散弾をこちらに向かって撃たせるわけにはいかない。アルミンもコニーもサシャも馬の牽引で後ろを振り向けない。
クレアは、ニファ達の死で震えてしまっていた手の甲を、思い切り噛んで自身を奮い立たせる。
そして絶対撃たせるものかと戦闘モードに入ると、デイジーをサシャに任せて飛び上がった。