第63章 敗北ばかりの調査兵団
リヴァイを追っている兵士の1人が、リヴァイを狙い発砲する。
ズドンッ!!!
「兵長…!!!」
リヴァイはギリギリでかわしたが、背後のレンガの壁が粉々だ。
あれは散弾銃だ。
「あ、あぁ…兵長!!」
クレアの心臓が凍りつく。
わけのわからない装備に散弾銃。
しかもあんなに大勢でリヴァイ1人を狙い撃ち。
いくら人類最強のリヴァイとてこれでは大劣勢だ。
クレアは自分の立場を一瞬忘れてしまったのか、リヴァイから目が離せなくなり、気づけば戦闘に加わろうと飛び上がる体制をとっていた。
しかしリヴァイは、すんでの所で散弾をよけ、自身のアンカーを武器に変え相手の腹部に突き刺すと、ワイヤーを巻き取り、その勢いで身体を真っ二つに刃で切り裂いた。
「「「「…………!!!」」」」
クレアも含め、皆時間が止まってしまったかのように動けなくなってしまった。
巨人を討伐するために開発された立体機動装置で、リヴァイが人間を殺したのだ。
そして中央第一憲兵も本気で調査兵団を消そうとしてきている。
いったいこの壁内はどうなってしまうのか。
そんな事で頭がいっぱいだったが、リヴァイがアルミンが乗っている尾行馬車に気づくと、その荷台に降りてきた。
馬に乗っていたクレア達も馬車の荷台まで近づきリヴァイの命令を待つ。
「兵長…?!大丈夫ですか?」
「あぁ、今のところはな…」
アルミンが心配そうにリヴァイに問いかけるが、顔が流血した血液で汚れているものの、大きな怪我は負ってなさそうだ。
「もう霊柩馬車は追うな!」
「はい!?」
「俺達の行動が筒抜けになっている。一旦エレンとヒストリアを諦める。奴らは2人をエサに残存する調査兵を全員この場で殺すのが目的だ。きっとこの先も敵が待ち伏せている。同じ様にして他の3人は殺された。」
「え…?!」
3人とはニファとケイジとパドリックの事だろう。