第63章 敗北ばかりの調査兵団
「ね、ねぇサシャ…私にも銃声が聞こえた様な気がしたんだけど……」
「クレアさん…!銃声が近付いて来ています!!」
「やっぱり…でもおかしくない…?相手は中央第一憲兵でしょ?銃を撃ちながら立体機動装置で追うなんてできないわ。それに…地上で援護射撃をしてるにしてもこんなスピードで動けるはずない…いったいどうなってるの?」
想定外の事が起こっている事は確かだ。
緊急時の指示通りに動きたいが、この銃声が飛び交っている現場を想像すると、なかなか動きだす事ができなかった。
しかし…
「あっ…クレアさん!霊柩馬車です!」
すぐ横の道をマークしていた霊柩馬車が通過した。
エレン達を見失うわけにはいかない。
「2人を見失うわけにはいかないわ…追いましょう!!」
「はい!!」
銃声の現場も心配だが、この馬車を見失うわけにもいかない。
リヴァイ達の安否も気になったが、今は自分達に課せられた使命をまっとうしようと、動き出した。
皆で一定距離を保ちながら馬車を追っていると、すぐ後ろまで迫ってくる銃声に、アンカーの射出音。
全員が後ろを向くと、門の出入り口から飛び出してきたのは顔から血を流しているリヴァイだった。
「兵長…!!!」
クレアは思わず叫んでしまった。
「ね、ねぇ…!?何あれ!!」
「何なんだ…立体機動装置なのか?」
「銃を持っているみてぇだが…まさか?!」
クレア達はリヴァイを追っている兵士達の姿を見て驚愕する。
立体機動装置の様な装備を身に着けているが大きく異なる点が1つ…銃が装備されている。
勿論だが、巨人に銃など通用しない。
では、この装備はなんのために、誰が作ったのか。
考えたくはないが、人が人を殺すために、人が…中央第一憲兵内の人間で作られた物だろう。