第63章 敗北ばかりの調査兵団
「クソッ……!!」
リヴァイはギリリと奥歯を噛みしめると、ニファの遺体に背中を向けて飛び出した。
「やっぱり逃げたか…!」
仲間の“死”というショッキングな負の感情に振り回される事なく潔く“逃走”を選択したリヴァイに、ケニーは感心した様にため息をつくと、新しい弾丸を装填した。
ガラガラガラガラ……!!
どんどん離れていく馬車を追いかけながらリヴァイは現在の自分達の行動が全て読まれている、そしてまたエレンとヒストリアを見失い、部下をも失う事になると考える。
そして、何故ケニーが憲兵に…
その疑問も拭い去る事ができなかった。
しかし、リヴァイに考える時間など与えぬと言わんばかりに、今度は建物の影から3人の兵士が飛び出し銃口を向けた。
ドンッ!ドンッ!ドンッ!!
何の躊躇いもなく引き金を引くこの連中。
本気で殺しにきている。
立体機動装置に似ているが散弾を撃てる仕組みになっているフザケた装備にリヴァイは盛大な舌打ちをした。
「待ち伏せ…あの野郎…ふざけるなよ……!!」
狭い路地に入り込み撃ち込まれる散弾をかわしていると、小さな酒場が目に飛び込んできた。
「………!!」
リヴァイは迷わず酒場の入り口にアンカーを射出すると、扉を蹴破り酒場に飛び込んだ。
ドガンッ!!!
「…なんだ?!」
「あれは…」
「リ…リヴァイだ…調査兵団の…」
店内は明るいうちから酒を飲める富裕層で程よく賑わっていた。
そんな中突然砂埃を上げて人間が飛び込んでくれば、誰もが驚き注目する。
しかし、当の本人はそんなのに構っている暇などない。
「チッ………」
店内のカウンターに着地したリヴァイは散弾がかすって出血した頬を指で拭うと素早くカウンターの内側に潜り込み身を潜めた。