第63章 敗北ばかりの調査兵団
神業のような身体能力で、間一髪弾丸の餌食になる事を避けられたリヴァイ。
すぐにニファの安否を確認したが、隣にいたのは顔面ごと吹き飛んだ変わり果てたニファの姿だった。
すると、大きくのけぞった身体から細長い瓶が飛び出してきた。
「………!?」
これは、今さっき話していたクレアが作ったという手づくりのお守り。
リヴァイは条件反射でそれを手に取ると、ポケットにしまう。
ニファが絶命した事と、散弾銃で攻撃された事を瞬時に判断すると、次の攻撃をかわせるよう、屋根の反対側へと身を隠したが、次にリヴァイの目に飛び込んできたのは、同じく散弾銃で攻撃をされ即死状態のケイジとパドリックだった。
この一瞬で3人の仲間が殺害された。
ただ事ではない。
これは、自分達の行動が全て読まれている。
そう考えて間違いはないだろう。
さて、どうするか…
身を潜めながら考えていると、聞き慣れない金属音と共に、聞き覚えのある声がリヴァイの耳の鼓膜を振動させた。
カチッ…
カーン…
「よぉ…リヴァイ。」
ガチャ…
「大きくなったなぁ!」
パシュッ……
キュイイイイ……
「お!?お前もあんまり変わってねぇな!?」
「ケニー!!!」
立体機動装置の様なワイヤーを使って上空から姿を現したのは、リヴァイの予想の通り、幼き頃生活を共にしていた“切り裂きケニー”だった。
何故ケニーが自分に銃口を向けている。
どうしてケニーが憲兵に…
理解に苦しんだが、今現在自分を殺そうとしているのは紛れもない事実。
リヴァイもブレードを抜いて応戦するが、相手の武器は銃。
しかも散弾銃だ。
ドンッ…!!!
すんでの所でかわすと、目の前には顔面を失い息絶えているニファの遺体。
どうにかしてやりたかったが、自身の班員やクレアまでも殺されてしまったらもうこのクーデターはお終いだ。