第63章 敗北ばかりの調査兵団
「調査兵団が民間人を殺した!一部の団員は出頭命令に背き未だ逃亡中、それらしき人物を見かけたら至急憲兵に情報提供を願う!!」
街のど真ん中で憲兵が手配書を配り、調査兵団が人を殺したと大声で叫んでいる。
そのショッキングな内容に人々はざわめき、街中はいつもより人通りが多くなっていた。
「やーね…危なっかしくて外も出歩けないじゃない…」
「やだ…怖いわ…」
「憲兵さんには頑張ってもらわないと…」
「しかしなぁ、リヴァイ兵士長ぐらいしか顔が割れてねぇからな。その辺にいても気づかねぇよ…」
「……………」
ジャンはハットのツバをグッと下げると、周囲の会話に耳を傾けながら、配られてた手配書を1枚受け取り路地裏に入っていった。
「あっちの道は使えそうだ…」
ジャンは路地裏にある公衆の蹄洗場で馬を休憩させていた仲間の元に戻ると、皆に今さっき配られていた手配書を見せた。
ここにいるのはエレンとヒストリアを除いた104期とクレア。
「一部の団員が出頭命令に背き未だ逃走中ってなってるが、それって俺らの事だよな?周りの会話を聞いていても顔が割れてるのはリヴァイ兵長くらいだった。それが不幸中の幸いか…まぁ俺達も時間の問題だと思うが…」
「……これで調査兵団は解散状態だな!」
「あぁ…もうダメな気がするぜ…何もかも…てっきり巨人に食われる最期を覚悟してたんだが…まさか人から恨まれて晒し首だとはな…」
「そんな…まだそうとは決まってないよ…」
アルミンが全力で否定をするが、コニーやサシャの表情は暗かった。
「団長がこのまま大人しく濡れ衣を着せられて調査兵団を畳むはずないよ!そりゃあ会長が殺されて、一時はエレンとヒストリアを見失って…もうダメかと思ったけど…兵長の機転でストヘス区の張り込みが功を奏したじゃないか!絶対あの葬儀屋に間違いないよ…」
ジャンやコニー達の迷いを払拭させようとアルミンは必死に訴えた。