第63章 敗北ばかりの調査兵団
まったく情けない男だと、ハンジが心の中でため息をつくと、少々声が大きかったらしい。
「誰だ………?!屋根の上で騒いでいる奴は?!」
街の人間に見つかってしまった。
「分隊長…逃げましょう!!」
中央第一憲兵は調査兵団の全団員に出頭命令が出たと言っていた。もちろん自分ももれなく対象だ。
ここで捕まるわけにはいかない。
そしてフレーゲルとここで離れるわけにもいかない。
「……さぁついてきてもらうよフレーゲル!」
「い、いやだ、放せ!!もう、あんた達は負けたんだ!!敗者なんだよ!!」
「え?……アハ、アハハハ!!!」
掴まれた腕を振り払おうとするが、相手は女といえど訓練を積んだ兵士。
ビクトもしない上に何故か笑いだした。
「何がおかしい!!」
もっともな言葉を浴びせるが、返ってきたのは予想をはるかにこえるモノだった。
「何言ってんの?調査兵団は未だ負けた事しかないんだよ?」
「……!?」
敗北しか知らない調査兵団。
苦笑いをしながらそう言ったハンジの顔が胸にズキリと突き刺さると、フレーゲルは何も言い返すことができなかった。
「分隊長!急ぎましょう!」
「うん!ほら、行くよフレーゲル!」
「…………」
気づけばフレーゲルはハンジに抱えられながら立体機動装置で飛んでいた。
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ー2日後ー
リーブス商会の会長達が殺されて、エレンとヒストリアの行方を見失ったリヴァイ達。
だがリヴァイの機転でストヘス区で張り込みをしていたら怪しい葬儀屋が門を通過していった。
その葬儀屋はそのまま2つの棺と共に宿へと泊まる。
棺の中身はエレンとヒストリアで間違いないだろう。
このまま尾行を続けてロッド・レイスまで辿り着きたいのだが、ストヘス区の街中が何やらよくないざわめき方をしていた。