第63章 敗北ばかりの調査兵団
「よろしくフレーゲル。私はハンジ・ゾエ。アジトに金髪の小さい女の子がいたでしょ?あの子の上官で調査兵団では分隊長をやっている。」
「金髪の女の子って…女王様になる子か?」
「ううん…もう1人いたでしょ?腰までの長い金髪で小さい子。」
「あぁ、そういえば…いたような…」
フレーゲルはなんとなく思い出すとコクリと頷いた。
「ごめん!早速で悪いんだけど、君も会長達と行動してたよね?何があったか教えてくれる?誰がやったんだ??」
「お…俺がしょんべん行ってる間に…親父も…ダンもジムも殺された…第一憲兵の奴らに…黒いコートの長身の男が…親父を…」
「エレンとヒストリアは?」
「連れて行かれたよ……」
「…………」
きっとニファが持ち帰ったエルヴィンの作戦は失敗している。
作戦が失敗し、その上調査兵団が殺人をしたという濡れ衣でエルヴィンが連行されてしまった。
事態は未だかつてない程、非常に深刻だ。
「…でも君が生きててよかった。この真実を明らかにしよう。」
「ど、どうやってだよ?!憲兵の罪を憲兵が裁くのか?!あんたもさっきのを見たんじゃないのか?!調査兵がやったと憲兵の奴らが言えば調査兵がやったんだよ!!俺の証言なんか意味ねぇよ!!」
父親の殺害でどれだけ中央の政治が腐ってるのかを目の当たりにしたフレーゲル。
だがどれだけ腐っていようが権力だけはあるのだ。
そんな連中に自分の証言など通じるものか。
そうこうしている間にも、事情を知らない仲間が現場に自分もいた事を言うかもしれない。
そうなったらもう終わりだ。
「憲兵は俺を殺り損ねた事に気付いて消しに来る…もう俺の居場所はどこにもない…このまま家族には死んた事にしておいて、この狭え壁の中を逃げ回るしか…俺の人生は…クソ…!!」
壁内の治安と民衆の暮らしを守るべきはずの憲兵に追われるなんてどれだけフザケた人生だ。
フレーゲルは子供の様にベソをかき始めた。