第62章 レイス家の真実
「ったく…たいした奇行種だな……」
思わずフッと笑みがこぼれたリヴァイ。
あの不器用な言葉に、そしてあの大きくて深い蒼色の瞳の視線に何度元気づけられてきた事か。
クレアの存在の大きさを改めて感じたリヴァイは、こんなクーデター早く終わらせてやると意気込みながら手際よくダスゲニーの馬装を終わらせた。
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「そりゃウォール・マリアでまた商売ができるんだったら何だってやるさ…こんなバカみてぇなマネに付き合ってでもな。」
「うわっ…何するんだ!?」
「お前らはここに2日間拘束されていたんだ。泥汚れ1つねぇ様じゃ疑われるだろ。」
エレンとヒストリア、リーブス商会達は、2人を第一憲兵に引き渡すため古びた停留施設に来ていた。
リーブスは疑われぬよう、ぬかりなくエレンの頬に泥を塗り込んでいたのだが、その姿を不服そうな顔をして見ている人物が1人。
会長ディモ・リーブスの息子、フレーゲルだ。
フレーゲルはどうやらリヴァイの事をあまり好いてはいない様だ。
ヒストリアの首を締め上げたり、信頼していると言いながらも威圧感のある態度、そして何よりも自身の父親がそんな男に対して従順な姿勢をしめしている事が心底気に食わなかった。
「あのリヴァイとかいうおっさんめ…あと1秒続けてたら俺がぶっ飛ばしてた所だったぜ!!」
「いいかフレーゲル、お前にもいつかわかるといいが…商人ってのは人を見る目が肝心だ。あの不器用でお人好しの旦那は…律儀にも俺らの商会と虫の息のトロスト区を守るってスジを通してる…本当なら他にも手はあると思うんだがな…」
リーブスは表面の見える部分だけではなく、パッと見る事のできないその人間の内面を見極めろと言いたかったのだが、はたして息子は理解しただろうか。
「ありゃきっと地べたから這い上がってきた人間に違いねぇ。だからお嬢ちゃん…おっと、女王様だっけか?あんたの上司はおそろしい男だが…まぁ、悪い奴じゃねぇよ。」
女王という役目をなかば強制的に任されたヒストリアは、力なくリーブスの顔を見ると、その顔はニッと笑っていた。