第62章 レイス家の真実
「わかった、じゃあ逃げろ。」
「リヴァイ兵長!?」
「ど、どうしちゃったんですか?!」
目を疑う様な光景に、止めようとした者もいたが、リヴァイはそんな周りの言葉には構わず続けた。
「俺達から全力で逃げろ、俺達も全力でお前を捕まえてあらゆる手段を使ってお前を従わせる。どうもこれがお前の運命らしい…」
「…兵長…何を…!?」
「それが嫌なら戦え!俺を倒してみろ!」
「は、放して…下さ…い…」
首が締まり酸欠状態になりかけたヒストリアの顔を見たリヴァイは一旦手を放してやると、重力に任せてヒストリアは床に落下した。
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!!」
「ヒストリア!!」
床にうずくまって咳き込むヒストリアにサシャとアルミンが駆け寄る。
「……こんな事…しなくても……!!」
そして、ジャンとコニーが恐る恐るリヴァイに意見する。
ミカサは冷静に見えるが、エレンは明らかにうろたえている。
そしてクレアも同じくだ。
確かに今、この世界の運命を左右する話をしている。
だが、ここまでリヴァイがするとは思わず、戸惑いを隠せなかった。
「お前らは明日何をしていると思う?明日も飯を食ってると思うか?明日もベッドで十分な睡眠を取れると…思っているか?隣にいる奴が…明日も隣にいると思うか?」
リヴァイの重すぎる言葉を聞いた104期は、隣にいる人物の顔を見ると黙ってしまった。
「俺はそうは思わない。そして普通の奴は毎日そんな事を考えないだろうな…つまり俺は普通じゃない、異常な奴だ…異常なモノをあまりにも多く見過ぎちまったせいだと思ってる。たが明日…ウォール・ローゼが突破され、異常事態に陥った場合、俺は誰よりも迅速に対応し、戦える。明日からまたあの地獄が始まってもだ…」
「……………」
リヴァイは誰の顔を見る事も無く、冷静に淡々と続けた。