第62章 レイス家の真実
「……では、ヒストリアをどうやって女王に即位させるかの件に関してですが…」
「え?」
「女王?」
ニファが本題に入る前に104期がざわめきだす。
そんな様子にニファも困惑してしまい、思わずリヴァイの方を見てしまう。
「リヴァイ兵長…?」
「……俺の班には言い忘れてたが…現在のフリッツ王家は本物の王家の代理みないなもんで、その本物の王家はレイス家だ。」
言い忘れていたにしては仰天すぎる内容だ。
ヒストリアのこめかみからは冷や汗が伝っている。
「ヒストリアを女王に即位させると聞こえましたが…それがこの革命の主目的という事でしょうか?」
「その通りだ。ヒストリア、感想を言え。」
アルミンの質問にサラッと答えると、今度はヒストリアに向かって無茶振りな問いかけをするリヴァイ。
「……あ…、私には…無理です……できません。」
「だろうな、突然この世の人類の最高権力者になれと言われて“はい、いいですよ”と即答できる様な神経してる奴は…そんなに多くはないだろうな…だが、そんな事はどうでもいい、やれ!」
「…わ、私には…とても務まりません……」
「嫌か?」
嫌とか嫌ではないという次元の話ではない。
自分の父親は貴族だが、自分自身は不貞の末に生まれた“いらぬ子”だったのだ。
今の今まで慎ましく暮らし、開拓地にも行き、訓練兵団に入り兵士として生きるつもりだったのに、いきなりそんな事を言われて“できる”など、どの口が言える。
「私には…とても…」
突拍子もない事を言われ、鋭い三白眼で詰め寄られたヒストリアは目をそらしてそう言うしかなかった。
しかし、リヴァイは冷や汗を流しながら小さく震えるヒストリアの前に立ってひと睨みすると、襟元を掴んで持ち上げた。
「うぅ……?!」
いきなり首を締め上げられた状態になり、ヒストリアはリヴァイの手を振り払おうとするがビクトもしない。