第62章 レイス家の真実
「イヤ、聞いてくれ。そういう契約だったはずだ。隠し事は無しだ。」
「………」
「あんたらのことは信用している。」
「へぇ、今日初めて紹介した俺のせがれも信用するってのか?」
そう言うとリーブスは少々素行の悪そうな人相をしている息子の頭を押してリヴァイに頭を下げさせた。
「リーブス商会の人間であれば当然だ。フレーゲルだったな?お前を歓迎する。」
「あんたは…リヴァイだったっけ?歓迎してるつもりなら茶菓子くらいそろそろ出てもいい頃だよな?」
フレーゲルの発言に、周りにいた調査兵の顔色が一瞬で青くなる。
中でも1番冷や汗をかいたのはエレンだ。
必要な演出だったとはいえ、“躾に一番きくのは痛みだ”と、審議所で奥歯が抜ける程の怪力で蹴り飛ばされたのだ。
あの時の痛みが思わずフラッシュバックしてしまった。
あの時の行動は演技だったかもしれないが、それがリヴァイの持論であるのは本当だろう。
リヴァイはフレーゲルに向かって殴りにかかるのだろうか。
皆が不安になりながら見つめていると、リーブスがため息をつきながらフレーゲルの後頭部を掴んで再度頭を下げさせた。
「うぅ…!!」
「すまねぇ…いつかこいつに俺の跡を継がせるつもりで色々連れ回してんだが…甘やかしちまったせいで、てんでガキのままだ。俺達は席を外すから俺達の役割だけ教えてくれればいい。」
だがリヴァイは首を縦には振らない。
「ダメだ。ここで一緒に聞いてくれ。この件はリーブス商会だけでなく、この世界の今後を左右する。だからあんた達の力と信頼関係は大事なんだよ。」
「…………」
無愛想な顔をしながらも、きちんと筋を通すリヴァイの言葉を理解すると、リーブスはフレーゲルの後頭部に置いた手を離した。
「わかった。ここに座ってるから進めてくれ。」
ようやく話ができる状態になると、ニファは皆に向かってエルヴィン伝言を話し始めた。