第62章 レイス家の真実
「そこでクソするだけの余生に生きがいでも見出してろ!!じゃあな!!」
収まらぬ怒りをなんとか抑えて2人に背をむけたが、サネスがボソリとハンジに向かって呟く。
「………順番だ…」
「………!?」
「こういう役には多分順番がある…役を降りても…誰かがすぐに代わりを演じ始める。どうりでこの世から無くならねぇわけだ……がんばれよ…ハンジ…」
涙を流しながら激励の言葉と共にその名を呼んだサネス。
ハンジは怒りなのか悔しさなのか、はたまた恐怖なのか……自身の感情が分からず1人でその場を後にする。
「分隊長…!?」
「ハンジさん!!」
クレアはモブリットに“私が行きます”と目で合図を送ると、ハンジの背中を追いかけたのだが、扉が閉まるとハンジは目の前にあった木のテーブルセットを思い切り蹴り飛ばした。
「ハンジさん…!?」
いきなりの事に驚いたクレアはビクッと肩を震わせると両手で口元を覆ってしまった。
喜怒哀楽のはっきりしているハンジだが、ここまで感情的になって物に当たる姿は今まで見た事がない。
サネスの言葉がよっぽど癪に障ったのだろう。
「クッッッッッソーー!!!」
目の前に転がってきたイスも容赦なく粉砕すると、盛大なため息をつきながらクレアの方を見た。
「はぁ……ゴメン……サネスの言ってる事に腹が立って……でも、腹が立つって事は相手の言ってる事が正しいって思ってるからなんだよね。」
「え……?」
「調査兵団は今の王政を変えようと必死だ。でなければいずれは巨人ではなく中央憲兵に殺されるからな。でも、方向性は違えど私のやった事はサネス達がやってきた事と変わらない…おんなじだ。本当に“どうりで無くならねぇわけだ”だね。ハハハ……」
「そんなぁ…そんな事……」
苦虫を噛み潰した様な表情で無理に笑ってみせるハンジに何か言葉をかけようとした時、ひょっこりとエレンが現れた。