第62章 レイス家の真実
「ほ、本当ですかニファさん!?」
すると、曇天の表情だったクレアの目が、日がさした様にみるみると輝かしくなる。
声にも張りがあり、今までの不機嫌などどこかにすっ飛んでしまった様だ。
「う、うん!本当に本当!!だから楽しみにしててね!!」
「はい!!楽しみにしています!!ではニファさん、どうぞお気をつけて!」
「ありがとう!団長の指示、急いで持って帰るからねー!!」
「はい!行ってらっしゃいませ!!」
「……フフ、クレアったら可愛い。」
機嫌を直したクレアに少し安心しながら雨の中出発をしたニファ。
クレアとまともに話す様になったのはハンジ班に編入してからだ。
クレアは調査兵団に入団してきた当時はどこか近寄りがたい雰囲気をしていたが、ハンジ班で厳しい訓練生活を送っていくうちにみるみると変わっていった。
あどけなく笑う表情はとても可愛く、そしてどことなく美しさも感じる不思議な魅力で周りの人間を惹きつける。
そんな所に、きっとリヴァイも惹かれたのだろうとニファはクスリと笑いながら納得すると、クレアから貰ったお守りに背中を押されながら夜道を全速力で駆け抜けた。
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翌早朝、クレアはハンジとモブリットと共にサネスを監禁している部屋に行くと、サネスは起きていた。
まだ外は薄暗い。
調査兵団の兵士も、見張り以外はまだ眠っている時間だ。夜通し起きていたのだろうか。
「あれ?サネス起きてたの?」
「こんなかたいイスで眠った事などないからな…それに体中が痛ぇ…もっとまともな麻酔薬はないのかよ…」
「中央憲兵のお偉いさんにはちょっとかたすぎたかな?それにごめん、薬品も値段が高騰してるからね。万年資金不足の調査兵団には1番安いのしか買えなかったんだ。」