第62章 レイス家の真実
「…………」
そんなモノがあるならアルコールをぶちまける前に使えと叫んでやりたかったが、そんなセリフをクレアに怒鳴る事もできぬ程サネスは憔悴していた。
薬液が体内に入ると、完全ではないがスーッと痛みが和らいでいき、サネスは何かを考える様に目を閉じてしまった。
そしてそのまま小一時間か経過すると再びハンジ達がやって来る。
「やぁサネス、少しは休めたかい?私も辛いんだけど、頑張って拷問するよ。おーいクレア〜?処置は済んでる?」
意気揚々と入ってきたハンジ。
「はい、傷口は全て消毒をし、休憩という事でほんの少し麻酔を投与しました。まもなく切れる頃だと思います。」
「分かった!サネスの希望通り嬲り殺しにしてあげたい所なんだけど、本当に死なれちゃ困るからね…君が喋ってくれるまではクレアに治療してもらいながら拷問を続けるよ。じゃあ、早速始めようか。」
そう言ってハンジはラックの上の、先程クレアが使い方を聞いてきたネジのついた器具を手に取ると、サネスに問いかける。
「さて、いらないのは右と左のどっちの睾丸だい?」
「……え?」
ハンジの言葉に耳を疑ったクレア。
睾丸?
先程自分が使い方を聞いた器具は男の睾丸を潰す物だった。そんな物がこの壁内に存在している事に疑問と大きなショックを受けたが、サネスはなんと答えるのだろうか。
恐る恐るサネスの方を見ると、光を失った目で空(くう)を見つめている。
そして、その重い口を開き語り始めた。
「…レイス家が、本当の王家だ。」
「何っ…!?」
リヴァイが言っていた言葉が繰り返し繰り返しサネスの頭の中を巡る。
“サネスが吐いたら相部屋にしてやる”
先に裏切ったのはラルフだ。
それなら死ぬのはその面一発殴ってからだ。
そんな想いでいっぱいだったサネスは、気づけばレイス家の秘密を洗いざらい話してしまっていた。