第62章 レイス家の真実
「…お前らほど!!楽しそうに人を痛めつける奴は見た事がねぇ!やれよ!!もっと!!お前の大好きな拷問を続けろ!!暴力が好きなんだろ!?俺もそうだ!!抵抗できない奴をいたぶると興奮する!!もっと俺で楽しんでくれ!!お前らは正義の味方なんだから遠慮する必要は無いんだぜ!?」
「そ、そんな……っ!?」
リヴァイもハンジもやりたくてこんな事をやっているのではない。
痛みで頭がおかしくなったのか、死を悟ったのかは分からぬが、自分の大切な2人になんて事を言うのだ。
お前らと一緒にするなとクレアは思わず怒りが込み上げてきたが、すんでの所でモブリットに止められてしまった。
「す、すみません……」
これから何か喋るかもしれないのに余計な横槍を入れてはいけない。
モブリットの制止で我に返ったクレアは小さな声で謝罪をした。
「お前の言った通りだハンジ!!仕方ないんだ!!正義のためだ!!そう思えりゃ全てが楽だ!!自分がすごい人間になれたと思えて気分が高揚するだろ?!お前ら化け物だ。巨人なんかかわいいもんだ!!でも…俺は怖くねぇんだよ!!俺は…!!俺には…王がいる…何年も…仲間と一緒に王を守ってきたんだ…俺は、この壁の安泰と…王を…信じている…俺達のやってきた事は…間違っていないと…信じたい…けど…こんなに痛かったんだな……」
自分の正義を信じたいが、逆の立場になって今更ながらにきづいたのだろうか。
今まで自身が拷問し、殺してきた人間の顔が次々にサネスの頭の中に現れる。
決して自身が信じる王を否定する様な言葉は言わなかったが、サネスの中に眠るなけなしの良心が目を覚ましたのだろうか。
薄っすらと目に涙を浮かべてうなだれてしまった。
「俺を嬲り殺しにしてくれ…それが…俺の、血に染まった…人生の全てだ…」
「………ふぅ。」
するとハンジはペンチをラックに置くと、小さくため息をついた。