第62章 レイス家の真実
「ハンジさん…コレっていったいどうやって使うんですか…?」
クレアは金属の枠にネジがついた摩訶不思議な物を指さして問いかけてみたのだが…
「ん?まぁ、見てれば分かるよ。」
ハンジからは苦笑いで返されてしまった。
「そう…ですか…」
そんなやりとりをしていると、イスに縛り付けられているサネスが低いうめき声を上げながら目を開けた。
「あ、起きたねサネス!おはよう!気分はどうだい?」
ハンジは実に爽やかな笑顔で声をかけるが、その笑顔が凍りつくほど冷たく感じたのは気のせいだろうか。
「お前は…調査兵団のハンジか…それに…リヴァイ?おい!この状況はいったいなんなんだ?!」
まぁ、サネスの言ってる事、言いたい事はもっともだ。リーブス商会から“エレンとクリスタの誘拐に成功した”と連絡を受けて2人の隠し場所に向かっている最中だったのだ。
それなのに何故イスに縛りつけられているのだ。
近くにラルフの姿もない。
サネスは頭は疑問で溢れかえっていた。
「じゃあ…始めようか……」
「なにをだ…?!!」
爽やかな笑顔から急に真顔に変ったハンジは、ラックに乗っているペンチを取ると、ツカツカとサネスの元まで行き、右手を押さえた。
「な、何するんだ…お、おい!…おい!!…うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ハ、ハンジさん…?」
ハンジは何もいわずにいきなりサネスの爪を剥ごうとペンチでひっぱり出した。
「あれ…?うまくいかない…こうか?…こうかな!?」
「おい!待て!目的を言え!!」
「うるさいなぁ!!こっちは人間の拷問なんて初めてなんだよ!!」
「拷問ならせめて何か聞け!!何も聞かずに爪を剥がす奴があるか?!」
「黙ってろ!!全部剥がしてからが本番だ!!」
「ふ、ふさけるな!!…グ…グァァァァァァ!!!」
不慣れな手付きで懸命に爪を剥がそうとするハンジだったが、力の入れ方を間違えたのか、サネスの指の第一関節がおかしな方向に曲がり、叫び声と共に鈍い音が部屋中に響いた。