第62章 レイス家の真実
「サシャ、どう?」
「道中くじいたり、バランスを崩した様子はなかったそうです。なので、疲労かと思われます…」
「ありがとう、そしたら塗り薬と肢巻で大丈夫かな…」
サシャはいつもは食べ物の事でいっぱいで少し抜けている所もあるが、狩猟民族という環境で育ったせいか馬の事にはとても詳しい。
クレアは荷物から疲労回復の軟膏を取りだし塗り込むと、その感触からもサシャの言う通り疲労という判断で間違いないだろうと一安心する。
あとは肢巻を巻いて休ませればおそらく大丈夫だろう。
だがクレアが肢巻を手にした時だった。
「クレアー!!あっ、いたいた!!」
「ハンジさん…?それに皆さん…」
ハンジの声に振り返ると、そこにはハンジの班員とリヴァイがいた。
「私達は、いつ彼らが通るかわからないから早めにでて待機してる。悪いけど、あとの事はクレアに任せてもいい?」
「は、はい…大丈夫です。」
ハンジ達が不在にしてしまったら自分が年長者なため、任されるのは自然な流れだが、いまだにこの感覚に慣れない。
「じゃあいつ戻ってきても大丈夫な様に準備よろしくね!!」
「承知しました!!」
クレアが敬礼で答えると、立体機動装置を装着したハンジ達はマントのフードを被り大雨の中出ていってしまった。
「えっと…そしたらエレン。肢巻は巻ける?」
「はい、訓練兵団で習ったので大丈夫です。」
「じゃあ薬は塗ったからお願いできる?少しキツめに巻いてあげてね!」
「分かりました!」
「そしたらみんな!!ずぶ濡れのところ申し訳ないんだけど、馬と馬具の手入れが済んだら急いで着替えて洗濯物をお願いできる?早く洗って室内に干しておかないと、足りなくなっちゃう。私は中にいるから何かあったら声かけて?」
そう伝えると、クレアは急いで建物の中の確認をしに走って行った。