第61章 104期との距離
「1ついい事を教えてやるよ旦那。中央憲兵(ヤツラ)は頭が悪い。」
「ん?」
「普段巨人相手に殺し合いしているような調査兵団(ヤツラ)に俺らチンピラが何とかできるわけねぇだろってんだ、馬鹿だねヤツらは…だははは!!そもそも俺達はあの姉ちゃん1人にやられちまったんだぜ、話になんねぇだろっての!!」
「…………」
「どうだい旦那?役に立っただろ?」
リヴァイは娼館で生まれ、気づいた頃には地下街でゴロツキとなり、その後エルヴィンにくだる形で調査兵団の兵士となった。商売などやった事のないリヴァイにとっては、商人の誇りや価値観など未知の世界だ。
だが、このリーブスという男は、中央からの利益のない一方的な命令でも、従業員とその家族を守るため全力で任務を成功させようとした。
そして、それらが失敗に終わった今、そう遠くない未来に待っているであろう“死”を覚悟したのか、洗いざらいリヴァイに話し笑い飛ばして見せる。
そんな姿を見たリヴァイは、説得次第でこのリーブス商会と手を組めば、王政をひっくり返す事もできるのではないかと考えた。
「あぁ…ヤツらの頭は足りないらしい、それは分かるが…そんな馬鹿共に大人しく殺されていいのか会長?」
「あ?」
「バカだが人類の最高権力者だ。お前らだって服すら着れねぇバカに食い殺されてんだろが」
「…なるほど、確かにそうだ。だが俺らは巨人を殺す事もできる。巨人と同じだ。どうせ死ぬなら試してみればいい。」
「だめだ…」
「なぜ?」
「失敗して死ぬ部下が増えるだけだ。」
「気にするな、どの道同じだ。」
「何だと?」
「この辺りは破綻寸前だ。一時は巨人に占領され半ば壊滅状態。だがそれにしちゃまだ人がいる。それは壁の扉を埋め固める作業兵と…巨人襲撃に備える兵士がいるからだが、そこにリーブス商会が人と仕事を結びつけているのも大きい。」