第61章 104期との距離
ードガッ!!ー
物陰に潜み、睨みをきかせていたミカサがまずは第一撃をしかけに飛び出す。
飛びかかった膝蹴りが部下の1人に命中するのと同時に、リヴァイはその隣にいたもう1人の部下の胸ぐらを掴んでそのまま床に叩きつけた。
一瞬の事で動きが止まったボスと思われる男にはミカサが懐に飛び込みそのまま押し倒す。
「ミカサ…兵長…」
入ってきた男達は全員、2人より体格が上だ。
それなのにいともあっさり仕留めてしまうとは…
クレアは対人格闘は苦手ではなかったが、流石に自分より大きな男を投げ飛ばしたり、叩きつける程の力は無い。
鮮やかとも言える攻撃を目の当たりにし、やはりこの2人は人間離れした能力を持ってるのだなとクレアはポカンと口を開けてしまったが、ジャンに声をかけられるとハッと我に返った。
「クレアさん!ロープ!急いで!」
「ご、ごめん!!」
すぐにロープをほどくと、すでにジャンとアルミンが2人を拘束している。
クレアはロープを手に取ると、ミカサの元へ向かった。
「急げ!!」
「コニー!!本当に3人で全部なの?!」
ミカサが周り見渡して叫ぶと、開けておいた天窓からコニーが返事をした。
「あぁ、全部だ!!近くには誰もいねぇ!!」
それなら後は商会のボスと思われるこの男1人。
「ミカサ、すぐに縛るから!!」
アルミンとジャンが拘束した男は意識を失ってるが、この男の目はまだ開いている。
急がなくてはと思ったが、その男はミカサがコニーに一瞬視線をそらした隙をつき小型の拳銃を取り出した。
「あっ……!!」
銃口はミカサに向けられている。
ダメ……
ミカサの戦闘力を失う事があってはならない。
「ミカサーーーー!!!」
「………!!!」
クレアがミカサに抱きつくように庇うと、それと同時に“ドスッ”と鈍い音がした。