第61章 104期との距離
「ジャンとクレアさんのロープはすぐにほどける様になってますので、私達が制圧したらこのロープを使って拘束して下さい。」
「うん、分かった。」
再びイスに座り直したジャンとクレアをロープでゆるく縛ると、ミカサは入り口のすぐに側の物陰に身を潜めた。
リヴァイとミカサで入り口を、コニーが屋根で見張りをし、高く積まれた木箱の上をサシャとアルミンで援護体制を整えれば準備完了だ。
後は待つだけなのだが、意外にも待ち時間はそこまで長くはなかった。
「確かにエレンとクリスタで間違いないんだろうな?」
「はい!特徴は一致しています。」
「変装してないか調べたか?」
「…それはまだです…」
馬車の止まる音がして数人の男達がこちらに向かってくる。
会話の内容からして商会の人間で間違いないだろう。
「………」
皆が天窓に目をやるとコニーの指は3本立っていた。
標的は3人。
リヴァイは作戦通りだとアイコンタクトを送ると、全員緊張した表情で頷く。
そして扉が開いた。
「……馬鹿野郎、またしくじる気か?」
「…申し訳ありません」
「ヤツらへの報告はまだ待てよ。俺達にはもう次はねぇんだ…」
雇い主である中央第一憲兵を匂わす内容の会話をしながら入ってくると、男達はジャンとクレアを見て見張りがいない事に気づく。
「ん…?見張りは…?」
「オイ、アイツらはどこに行ったんだ?」
「わ、わかりません……」
「ったく…まずはこの2人が本物か確認するのが先だ。こういうもんはなぁ…一旦は身ぐるみ剥がした所から始めるもんだろうが……」
「は、はい!!」
部下の不在を気にかけつつも3人はクレア達に向かって歩き出す。
注意がクレア達に向けられた所でリヴァイがミカサに合図をだした。