第61章 104期との距離
「そんなに嫌がる顔をされると、もっと虐めたくなっちゃうなぁ…それに君、いい匂いがするね…本当に食べちゃいたくなってきた…」
いい匂いとはクレアがいつも好んでつけているキンモクセイの香油の事だろう。
その香りにつられてか、この男は荒い息づかいでクレアのうなじに唇を押し付けると、我慢できなくなったのかペロリと舐めだした。
「(いやぁぁ!!!)」
吐き気を催すおぞましい感触に声を上げてしまいそうになったが、それをするのは“今”ではない。
必死に我慢をしていると、天窓から人影が見えた。
───────────────
リヴァイは気づかれぬ様に中を覗くと、クレアを捕まえてイスに縛りつけた男が、あろう事か厭らしい手付きでクレアの身体を触りだした。
「あの野郎……」
何を喋ってるかまでは分からないが、ここで窓を開けてしまったら気づかれてしまう。
しかし、クレアが縛られて動けないのをいい事に、身体のあちこちを撫で、しまいにはうなじを汚らしく舐め回す始末だ。
嫌がるクレアの姿に更に興奮をしたのか、ニヤニヤしながら下半身を擦り付けている。
エレンにヒストリアは、ただの金目当ての誘拐とはわけが違う。中央第一憲兵がからんだ“超重要人物”なのだ。
そんな人間相手に手を出すなど完全に頭のイカれた男だ。
「ちくしょう……」
なんとなくこうなるのではないかと思っていたリヴァイ。悪い方に予感が的中してしまい、頭の中は爆発寸前だ。
だが、今ここで勝手な行動に出るわけにはいかない。
すんでのところで我慢をしていると、コニーとミカサが戻ってきた。
「兵長…!建物の周りは入り口にいる2人だけです。」
「私は中の様子を探ってみましたが、おそらく今ジャン達が拘束されている所にいる男1人だと思われま……え?…クレアさん……?」
コニーとミカサがリヴァイに報告をいれると、2人とも中の様子が見えた様で、その光景に驚愕した。