第61章 104期との距離
ある程度の距離を保ちながら追跡する事数分。
路面状態が悪く、ガタガタと馬車の車輪がうるさい音を立ててくれたため、こちらに気づかれる事なくアジトへと辿り着くことができた。
馬車から馬の手綱を持っていた男が1人、ジャンを捕まえた男が1人、クレアを捕まえだ男が1人、大きな倉庫の様な建物に入っていくと、入れ替わる様に2人の男が中から出てきた。
「おそらくボスを呼びに行くつもりだな…コニー、建物の周りを確認して、何人いるのか調べてこい。」
「はい!」
コニーが調べに行ってる間に天窓から中の様子を探ると、ジャンとクレアは向かい合わせにイスに座らされて両手首と腰回りをロープで縛られていた。
まぁ、逃げられては困るのだ、これぐらいの事はするだろう。
たが次の瞬間、リヴァイが危惧していた最悪な事が起こってしまった。
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「ホラ、ここに座れ!!」
ーガタンッ!!ー
「…いってーな……」
「ジャ……エ、エレン…大丈夫?!お、お願い…乱暴はやめて…」
ジャンをエレンと思い捕まえてきた男が、蹴飛ばす様に座らせると、2人は当然の様にロープで縛られた。
ここに来てすぐに見張りをしていたであろう男が2人出ていった。きっとここのボスを呼びに行ったのだろう。
ここまでは予定通りだ。
だが、重要なのはこの後の流れだ。クレアは辺りを見渡すと、天井には天窓が、そしてこの大きな倉庫の様な建物内にもいくつかの窓がある事を確認する。
中と外の状況が分かれば誰かがサインを出すはずだ。
クレアは気づかれぬようにチラチラと注意深く各窓を確認していると、男2人がここから出ていった。
「俺達は外を見張ってっから、くれぐれもヘマするんじゃねえぞ!!」
出ていったのは馬の手綱を握っていた男とジャンを捕まえた男だ。