第61章 104期との距離
「全員読んだか?」
「は、はい…リヴァイ兵長…これは…」
「エルヴィンからの指示だ。お前らはヤツを信じるか?信じるバカは来い。…出発だ。」
リヴァイはテーブル中央の蝋燭で手紙を燃やすと出発の準備を命令した。
エルヴィンからの手紙には、中央第一憲兵が間違いなくエレンとヒストリアを狙っている事。
中央第一憲兵は王政との癒着が深く、師団長であるナイルでさえも手が出せない事。
そしてリーブス商会を雇ってエレン達の潜伏先を血眼になって探しているという事。
そして、今の潜伏場所も時間の問題だという事。
今後の動きも含め、そんな事が簡潔に書かれていた。
リーブス商会の情報網がどれ程のものなのかは分からないが、もう今晩ここで眠るのは危険と判断したリヴァイは、全員に武装をさせこの小屋から出ていく事にした。
「装備は1つも忘れるなよ…準備ができた者からさっさと表へでて馬装をしろ。」
全員が準備を終え、馬を曳きながら山中を歩いていると、今自分達が出てきた小屋からポツポツと松明のような灯りが見えてくる。
「なんだよアレ…」
「危ねえ…」
「今夜もあそこに寝てたら…」
「俺達どうなってたんだ…?」
「兵長…あいつらが中央憲兵ですか?それとも…」
「さぁな、奴らが直接こんな現場に出向くとは思えんが…俺も舐められたもんだ…」
「兵長、作戦はどうなりますか…?」
「焦るな、少し早まっただけだ。予定通り作戦は決行する。ひとまず目的地まで急ぐぞ…今夜は月がでていて助かったな。」
リヴァイ達は月明かりを頼りにひたすらに山中を歩き通した。
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翌日、エレンとヒストリアを除く一行はトロスト区の門破壊跡の近くを歩いていた。
その顔には少し疲労がうかがえる。
明け方にエレン達の新しい潜伏場所に馬を置き、2時間ほど仮眠をとったが、ほぼ一晩中歩き通しだ。
十分な休息ではなかったが、時間は待ってくれない。