第61章 104期との距離
「駄目だ、寝るならここで寝ろ、俺の事は気にするな。」
「で、ですが……」
「お前とこうしていた方が落ち着いて良く眠れる。嘘じゃない。だから見張りの時間までここで寝ろ。」
「兵長……あっ……」
そう言ってより一層強く抱きしめると、うなじのあたりに唇をつけてキンモクセイの香りを堪能するリヴァイ。
スンスンと匂いを嗅がれる感触がくすぐったい。
「兵長ズルいです……」
「あ?何がだ…?」
「こうしていた方が良く眠れるだなんて…そんな事を言われてしまったら私、何も言い返せないじゃないですか…」
「事実だからしかたないだろう…分かったらもう寝ろよ…このまま文句を言ってると、見張りの時間まで抱くぞ。」
「ご、ごめんなさい!文句なんてございません!おやすみなさい!!」
慌てたクレアは、諦めて布団に潜って目を瞑るとそのまま眠りについてしまった。
「…………」
背後から抱きしめキンモクセイの香りを胸一杯吸い込めば、自然と自身の瞼も重くなってきてしまう。
まだこうして愛しい寝顔を眺めていたいが残念だ。
「悔しいが、今日はおとなしく寝てやるよ…」
名残惜しくクレアの滑らかな髪の毛を撫でながら、リヴァイも諦めるように眠りについた。
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次の日は、作戦の細かな打ち合わせでどんどん時間は過ぎていき、気づけば日が傾いていた。
エレンの体調も大分回復しているため出発は明日、予定通りに決行できそうだ。
皆、そう思っていたのだが…
夕飯を終えて、今夜の見張り当番の最終確認をしていると、一通の便りが届いた。
「…………」
リヴァイが受け取り中身を確認すると、その筆跡はエルヴィンのものだった。
「おい、これを読め……」
いきなり背後から1枚の紙が降ってきて皆驚いたが、中身を読んで更に驚愕する。