第61章 104期との距離
「兵長……、あの……」
「なんだ?」
リヴァイの部屋に入ると、クレアは少し不機嫌そうな顔をしてリヴァイに話しかけた。
クレアがこんな顔をするのは珍しい。
リヴァイはベッドサイドにドサッと腰掛けるとその顔を見つめながら返事をした。
「あの…ですね…非常に申し上げにくいのですが…」
「だからなんだよ……」
言いにくい内容なのか中々本題に入らないクレア。いったい何を話そうとしてるのだ。
「兵長…私が男の人と話してる時に、怖い顔して睨むのは…やめてもらえませんか。」
「はぁ?」
「エレン達が怖がってますし…それに、彼らに私達の関係がバレてしまいました…別に頑なに隠す必要もないですが…兵長は調査兵団の幹部ですし……」
「はぁ…アイツらは俺の班の班員になったんだ。別にバレても問題はない。それに周りも気にするな。というかお前は無自覚鈍感奇行種だからな。俺が睨みをきかせておかないと、どこでどう男が勘違いするかわからねぇ。やめるつもりはない。」
「そ、そんなぁ…」
「まぁ、お前がその無自覚で鈍感な所を直すと言うのならこっちも考えなくもないが……そんな事できるのか?」
「そ、それは……」
リヴァイの話によれば自分は、男に誤解を与える様な話し方をしているそうだ。
ただ普通に笑顔で話をしているだけだが、それがリヴァイにとっては“無自覚鈍感”なのだそうだ。
だからといって昔の自分の様にぶっきらぼうで冷めた顔して話をしろというのか?それはそれで相手に失礼ではないのだろうか。
「兵長は…少し厳しすぎだと思います…私は決して兵長以外の男の人と……あっ……!」
ベッドサイドに腰掛けているリヴァイの前で話をしてたらまだ言い終わらぬうちに腕を引っ張られてクレアは押し倒されてしまった。
「あ、あの……兵長…?!」
「そんな事はわかっている……」
クレアの両手首をベッドに沈めると、眉間にシワを寄せて言い返してきた。