第61章 104期との距離
ヒストリアがパタパタとキッチンへ向かって走って行くのを黙って見つめる事しかできなかったクレア。
きっと今頃は自分とリヴァイの事でキッチン内は騒がしくなっているだろう。
非常に気不味い…
非常に気が重い…
だが、任務を放棄してここから立ち去る事などできない。それに、遅かれ早かれいずれは言わなければならなかったかもしれない。
「はぁ……行こう……」
そう自身に言い聞かせると、クレアもミントを摘んだザルを片手にキッチンまで戻った。
「あの、みんな…?紅茶は淹れ終わった…?」
声をかけると、皆クレアに注目だ。
「……………」
「クレアさん、やっぱり兵長と付き合ってたんですねー!!」
「なんかそうなんじゃないのかなと思ってましたよ。」
「これで俺がリヴァイ兵長から睨まれてた理由が分かりました。」
みな口々に言いたい放題だが、変な距離は感じない。
ヒストリアの伝え方が上手かったのだろうか。
「ご、ごめんね…こんな大変な時に個人的なカミングアウトしちゃって……それにジャンにコニーにエレンは、なんの罪もないのに兵長から睨まれる様な事になっちゃってごめん……あぁもぅ…色々とごめん…」
途中から自分でも何が言いたいのか分からなくなってしまい、ザルをシンクに置くと、ガックシと肩を落とした。
「そんなクレアさんが謝らないで下さい!!俺達応援してますから!!」
「コニー……」
「あっ、でもあんまり睨まないで下さいって兵長に言っといて下さい…俺達クレアさんに悪さしようなんてコレっぽっちも思ってませんから!」
「ジャン……」
「それにしても兵長はクレアさんへのマーク厳しいですよね、昔からですか?」
「エレン……」
「ほらほら、聞きたい事は山ほどありますが、紅茶が入ったので皆さんに持っていきましょう!!クレアさん、ミントはカップに入れてしまっていいんですか?」