第61章 104期との距離
「ヒストリア…?ど、どうしたの?」
「……ミント摘むの…手伝います…」
そう言うと、ヒストリアも小さなザルを片手にミントを摘みだした。
チラリと顔を覗き込むと、少し険しい表情をしている。どうしたのだろうか?
「あの…クレアさん?」
「な、なに?」
「私の替え玉を引き受けて下さって、ありがとうございます…本当は自分の代わりに誰かが危険な目にあうような作戦なんて反対ですが…今の壁内の状況や、ハンジさんの話を聞くと…他にいい作戦なんて、私の頭では思いつかなくて…なんていったらいいのか…本当にすみません…」
「ヒストリア……」
ヒストリアは自分だけが安全な場所で待機する事を心苦しく思ってる様だ。
だが、レイス家という自身の出身が災いしてか、何が何でも調査兵団から誘拐されるわけにはいかない。
そういった事もちゃんと理解している。
理解しているからこそ、葛藤しているのだろう。
「ヒストリアが謝らないで…これでも調査兵団で2年生き残ってるんだから。こんなに身体小さいけど私、訓練兵時代の対人格闘で負けた事ないんだよ?!」
「え…?!」
「勿論、身体の大きな男の子には勝てなかったけど、でも絶対勝たせないで引き分けで粘ってたんだ!一応壁外調査では生き残ってきてるし、対人格闘も苦手じゃないから、ヒストリアは何も心配しないで…あっ、でもごめん…アルミンより私の方が適任だなんてだいぶ偉そうな事言っちゃったね…いくら性別が同じでも“こんなガキじゃなかったはずだ!”なんて顔見て言われたらそれこそ作戦失敗なのに…」
クレアはほんの少しだけ自分より背の高いヒストリアを見上げて苦笑いをする。
「そ、そんな事ありません……クレアさんは私なんかより全然キレイです。本当にお世辞じゃありません…ですが…私……」
「作戦は私1人でやるわけではないし、リヴァイ兵長も、ミカサもいるしきっと大丈夫。ヒストリアの心配する気持ちも分からなくないけど、信じて待っていて?」