第61章 104期との距離
「実は…リヴァイ兵長…多分…というか、絶対僕達が淹れた紅茶、不味いと思ってます…なので教えて頂けると助かります。」
「そ、そうだったんだ……じゃあ、早速やってみようか。そんなに難しくないのよ。」
いったいどれだけ不機嫌な顔をしてたのだろうか…
クレアは苦笑いをしながら説明を始めた。
湯が沸くまでの間に一通り口頭で説明したのだが、ふと窓の外に目をやると、あるモノが目に入った。
「えっと、手順はこんな感じ。難しくないでしょ?」
「はい…こんな簡単なやり方でいいだなんて…驚きです。」
「きっとこの淹れ方なら兵長も不機嫌にならないと思うわよ。それよりみんな、あそこ見て!」
クレアが指さした先に見えたのは窓から見える地面に生えた緑の植物だ。
「あれ、多分ミントよ。紅茶に入れるとすごく美味しいから、私とってくるね。みんなは、お湯が沸いたら今説明した手順でやってみて!!」
「わ、分かりました!!」
ミントが自生しているなんて、なんてラッキーなのだ。クレアは少し興奮気味に外へ出ると、調理用のザルを片手にミントを摘み始めた。
「うん、やっぱりいい香り…これなら兵長の機嫌も直るかな…」
リヴァイは自分の淹れた紅茶が1番好きだと言った。
昨日はそんなやり取りをした後になんだかよからぬ展開になってしまったため、聞き流してしまったが、決して忘れた訳ではない。
こんな自分の紅茶が好きだと言ってくれるのなら、自分が側にいなくても、いつでも飲めるようにしてあげたい。
やり方さえ間違えなければ、こそまで難しい事はないのだ。きっと104期のメンバーも直ぐに覚えてくれるはずだ。
そんな事を考えながらミントを摘んでいたら、背後から声をかけられた。
「クレアさん……」
「え…??」
振り返ると、そこに立っていたのはヒストリアだった。