第61章 104期との距離
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「そしたらこんなもんかな?」
「まぁ、これで大丈夫だろ……」
「よーし!じゃあみんな、気合いれて頑張るぞー!!んー!それにしても座りっぱなしで疲れたぁ!!」
お互いの行動範囲や緊急時の連絡方法、ハンジ達の潜伏場所など、細かな事が全て決まると、いい時間になっていた。
ハンジは両手を上に伸ばして思い切りノビをしている。
緊張感張り詰める作戦会議に皆疲れただろう。
お茶でも淹れようとクレアが立ち上がろうとしたら、クレアよりも先にアルミンが立ち上がった。
「お疲れ様でした。僕、お茶でも淹れてきます。」
アルミンが立ち上がると、それにつられるように104期の全員が立ち上がった。
先を越されてしまった。
クレアは昨日の事もあり手伝おうかどうか迷った。
自分は年上の兵士なのだ。
かえって気を遣わせてしまっても悪い。
そんな事を考えていたら不機嫌な顔で睨んでくるリヴァイと目が合ってしまう。
「………!!!」
そういえば、リヴァイは104期が淹れた紅茶に厳しい採点をしていた。
あの顔はどう見たって“まずい紅茶は勘弁だ”と言っているに違いない。
クレアもスッと立ち上がると、そっとキッチンまで向かって行った。
キッチンでは大きなヤカンに水を入れ、人数分のカップを用意していたりと皆バタバタと準備をしていた。
「ねぇみんな…??」
「クレアさん…!?」
クレアが少し申し訳なさそうに顔を出すと、アルミン達は一斉にクレアを見た。
「あ、あのね…私、美味しい紅茶の淹れ方を知っているの。よかったら教えてあげようかと……」
「本当ですか?!是非教えて頂きたいです。」
答えてくれたのはアルミンだった。
“クレアさんは休んでいて下さい”と突っ返さてしまうかと思っていたため、予想外の反応に少々驚いてしまった。