第9章 駈けだす想い
────────
フレイアは各兵士の愛馬用の馬具倉庫に、デイジーの鞍と頭絡を片付けると、自室に戻り風呂の支度をしていた。
「クレアと入ろうと思ったけど…汗ベタベタで気持ち悪いから先にはいっちゃお。」
手早く支度をすませて、兵舎内の大浴場までの道のりを1人で歩いていると、遠くから意外な人物の声が聞こえてきた。
──「だーかーらー、リヴァーイ。そろそろ巨人の捕獲作戦に協力してよー!」──
──「断る。何度も言わせるなクソメガネ。第一、エルヴィンの許可もでてねぇだろ。」──
──「そこを一緒に説得してほしいんだってばー!」──
ハンジとリヴァイである。
フレイアは不思議に思い、2人にかけより声をかけようと思ったところで、逆に話しかけられてしまった。
「あ!おーい!フレイア、君たしか、ミケ班だったよね?」
「は、はい!お疲れ様です!ハンジ分隊長、リヴァイ兵長!」
荷物を持っていたため敬礼ができず、まごついてしまう。
「ねぇねぇ!フレイアからもミケに話してくれない?そろそろ巨人の捕獲作戦にのらないかって!」
「え?えーー?!」
「おい!新兵をダシに使うな。みっともねぇぞ。」
「リヴァイのケチー!」
2人の会話に割り込むのは、無礼も承知だが仕方がない。
「あ、あの、お話中のところすみません!クレアは一緒ではないんですか?」
「え?クレア探してるの?クレアなら、デイジーの馬具を点検したいからって厩舎に残ってたよ。そろそろ戻ってくる頃だと思うけど……」
……あれ、なんだか話が噛み合わない。
「あ、いえ、そうではなくて…クレアには先程厩舎で会いました。その時ハンジ分隊長が自分を探してるみたいだからって少し慌てて厩舎を出ていったんです。なので…その後、会えましたか?」
「「………………………」」
ハンジとリヴァイは顔を合わせると、お互いに嫌な予感が脳内をめぐった。
「いいや…私はクレアを探し回ったりはしていない…」
「おい、フレイアといったか?あの奇行種野郎はどこに向かって行った。」
奇行種?話の流れから察するに、クレアのことだろうか。