第60章 新・リヴァイ班、始動
すると今度は、リヴァイとは付き合いの長いハンジが、話し始めた。
「…つまりリヴァイの言ってる事はこうだ。我々は今回エレンが硬質化できない事を知る事に成功したってね。勿論それだけじゃない!連続して巨人になれる時間やその汎用性と、限界値の目安も知る事ができた。今回の実験全てを有益な情報にできる!」
ハンジの解説でエレン達はハッと気づく。
「派手に狼煙を上げた代償を払うのはこれからだろうけど、実験の結果を活かせるかどうかもこれからだ。つまりこれこらも頑張ろうぜ!ってリヴァイは言ってんだよね!!」
「……あぁ、助かる……」
普段あまり多くを語らないリヴァイにとってはハンジの解説がありがたかった様で素直に礼を言った。
いつもは互いの衛生観念の相違について激しく言い合ってはいるが、長い付き合いだけあって互いの理解度については深いものがある。
そんな2人のやり取りをみてクレアは少し微笑ましい気分になった。
「…………」
ーこれからも頑張ろうぜー
エレンは拳をグッと握り考える。
普段から厳しいリヴァイでさえ自分を責めることはしなかった。
この壁の中の危機を救えるのは自身の巨人化する能力だというのに、ハンジもリヴァイも前向きに次の事をしっかりと考えている。
しかし、何故実験中に父親の事を思い出したのだろうか。それがなければもっと長く、命令に従順なまま巨人を操れたのではないのだろうか。
父さんは今はどこに…どこかで生きているのか…?
そんな事が頭の中をよぎると、エレンの目の前の景色が一瞬、なんの前触れもなく変わった。
「…!!」
誰だ…
目元がヒストリアに似ているが髪の色が違う。
これは記憶か?
いったいいつの……?
「う……」
あ…だめだ…また…これ以上は……
そう思った所で視界が歪み目の前に心配そうにしたミカサの顔が飛び込んできた。