第60章 新・リヴァイ班、始動
「兵長、あの……」
目的であるリヴァイは部屋にちゃんといた。
慌てて敬礼をした3人だったが、何か違和感がある。
「サシャ…上官の部屋の扉は中からの返事を確認してから開けろよ。ノックの意味がねぇじゃねぇか…」
ベッドに腰掛けため息をつくリヴァイ。
よくよく見るとリヴァイの背後の布団が少し盛り上がってカタカタと揺れている。
そして、布団の端からパラリと落ちている蜂蜜色の髪の毛。
髪の色だけを言うならアルミンもヒストリアも似たような色をしている。
だが、ここまで長い髪の毛の人物は1人しかいない。
「おい、聞いてるのかよ…」
「は、はい!!すみません!!そ、そ、そ、掃除が終わりましたので報告に来ました。」
様子からして、リヴァイはクレアと一緒にいて、自分達に見られてはマズい状態だったのだろう。
さすがのサシャとコニーも、こんなあからさまな事をされれば気づいてしまう。
すると、自然と先程のジャンの行動も理解できてしまう。
何度か104期の間で噂になったが、やはりリヴァイとクレアはそういう関係だったのかと、サシャとコニーはあいた口が塞がらなかった。
「何マヌケな面してんだよ。掃除は今度こそ大丈夫だな?埃1つでも残してたら夕飯抜きだからな…」
ベッドから立ち上がり、ポカンとしている3人の額に強烈なデコピンをお見舞いすると、リヴァイは掃除のチェックをするために部屋を後にした。
ーパタンー
「………………」
リヴァイとジャン達が出て行きシンと静まり返る部屋。
「もう…!!兵長ヒドイ…やめてって言ったのに…」
バサッと布団を捲ると大急ぎで乱れた服と髪を整えるクレア。
「もう一度エレンの様子を見てからハンジさんの所ヘ行こう…」
スイッチが入ってしまうとそこがどこであろうと盛ってしまうリヴァイに、盛大なため息をつくと、クレアはそっと扉を開けてリヴァイの部屋から出て行った。