第60章 新・リヴァイ班、始動
「(あぁん…へいちょう…こんな…所で…いけません……あぁ!!)」
「(なんだよ…意地っ張りだな。この間みたいに素直にねだってみせろよ。)」
「(…そんな事を…言われましても…んん…んああ……!!)」
「………」
引っ込めた拳をおろして直立不動になるジャン。
いったい何だ。
この扉の向こう側で何が…ナニが行われている。
男の声はリヴァイなのは分かる。
女の声は……
考えたくないが…考えたくはないが…
クレアだろう。
ハンジ達は今実験結果をまとめている最中だし、104期の班員もミカサにヒストリアは夕食の準備、サシャは今まで一緒に掃除をしていた。
考えられるとすれば、エレンの看護をしていてその後掃除の手伝いにきたが、先輩兵士相手に手伝わせる事などできずに断って、手持ち無沙汰になってるであろうクレアしか考えられない。
それに、クレアは104期の間でも噂になっていた。
クレアと仲良くしようとすると、決まってリヴァイは不機嫌になる。
自分達と話している時に不機嫌な顔をしてクレアを連れて行ってしまった事も何度かあった。
なんとなく2人の関係はただの上下関係には見えないと皆で噂をしていたのだ。
ここに来た時もそんな話になった。
怪しいのはその話題が出た時のエレンの顔だ。
なんとか話題を変えようとしたあたり何か知っているに違いないと思ったが、こういう事だったわけだ。
「おい…どうすりゃいいんだよ俺は…」
もうこの際エレンの事はどうでもいい。
エレンもエレンでリヴァイから直接聞くという、正当なルートで得た情報ではなかったのだ。
きっと今の自分と同じ様な形で知ってしまったのだろう。
そんな事より今はこの状況をどうするか…だ。
勿論、今ここでノックをして入れるほどジャンは鋼の心臓ではない。
だからといって、コトが済むまでここでこうしてるのも違う気がした。