第60章 新・リヴァイ班、始動
「……アハハ…多分大丈夫!!」
ミカサの視線から逃げる様にハンジは荷台後部の布を少しめくると、外を見た。
巨人化実験…やはり穏やかにはいかなかったか。
巨人になればどうしても狼煙が上がってしまう。
わざわざ、潜伏している小屋から離れた山奥まできたが…ヤツらにどこかで見られている事は覚悟しなくてはならないだろう。
ハンジは奥歯を噛みしめると、シャッと布を閉めた。
────────────────
小屋まで戻ってくると、すぐに皆で手分けをして後処理をした。
クレアはエレンをベッドに寝かせて回復の経過を記録する。
ハンジ班の班員は今回の実験結果のまとめを、104期達は見張りと馬の手入れに分かれて夕刻までとにかく慌ただしく時間が過ぎた。
「あ………」
そして、日も傾きかけた夕方、ずっと蒸気を上げていただけだったエレンの身体に変化が起きてきた。
少しずつ熱が引いていき、失った肉体部分の再生が始まったのだ。
よくみると、中々再生しなかった眼球や鼻までもがみるみると回復してきている。
クレアは今の時刻をメモすると、ハンジのいる部屋まで飛んで行き報告をした。
報告をして再び戻ってくると、エレンはもうあと1歩の所まで回復していた。
「嘘でしょ……この短時間で……」
エレンの驚異の回復力には驚かされたが、この様子なら時期に目が覚めるだろう。
クレアは他の皆の様子を見に一旦部屋を出た。
階段を下りていくと、キッチンの方から芋を蒸しているような匂いがしてきた。
「あ、クレアさん!!」
声をかけてきたのはアルミンだった。
キッチンにはアルミンにミカサにクリスタが立っていて夕飯の支度をしていた。
「3人とも夕飯の支度?」
「はい、そうです。あの…エレンの様子は…」
ミカサが心配そうに聞いたてきた。