第59章 奇行種、奔走
「てめぇが調査兵団やっている本当の理由はそれか?」
「……?…え?」
ハンジにはリヴァイの言ってる事がよく分からなかったが、リヴァイには“子供の頃から”というワードでなんとなくの察しがついた。
例え利き腕を失ったとしても、自身の中で蠢く野望も、時には冷酷な命令を下す判断と覚悟も健在の様だ。
こんな状況で気味悪く笑ったエルヴィンに一瞬引いたリヴァイだったが、その理由を理解するとそれ以上追求する事はしなかった。
「勘弁しろよリヴァイ…腕を食われ心身共に疲れ切っていてかわいそうだとは思わないのか?」
「は…言ってろ……」
「ところで…エレンとヒストリアは今どこに?」
「あぁ…それに関しても進めているよ。まずは2人を安全な場所に隠した。この混乱が鎮まるまで大人しくしてるよ。」
「焦るでないぞ、今世間は棒で引っ掻き回した蜂の巣の様なもんじゃ。先程の巨人の正体の説も今はまだ広める段階に無い。」
「えぇ…もうしくじるわけにはいきません。クリスタを辿れば我々以上に巨人に詳しい組織を追求できます。エレンの能力を発揮できれば壁を奪還できます。今は何よりこの2人が重要だ。2人はどこに?」
「お前が腕を食われて心身共に疲れ切っていてかわいそうだと思ったから俺とハンジで色々決めたよ。俺とハンジ班の新しい編成もな…エレンには死に物狂いになれる環境が相応しい……」
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調査報告に今後の事が決まると、皆席を立った。
「それじゃあ、くれぐれも無茶はするなよエルヴィン…」
まずはピクシスとアンカが部屋を出ていった。
「コニー。支度が済んだら俺の執務室に来い。エレン達と合流する。」
「は、はい!!」
次はリヴァイとコニーが出ていく。
「クレア、シェリルはどんな様子だ?」
「え?シェリルですか?」
シェリルはエルヴィンの愛馬の名だ。