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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第9章 駈けだす想い




「全て、母から習ったものです…兵長に喜んで頂けたのなら光栄です。」


クレアは自分のカップを応接セットのテーブルに置くと、黙々とリヴァイの仕事を片付け始めた。

奥深い紅茶の香りが心地よい空間で、リヴァイは手際よく仕事を進めることができた。





あっという間に時間がすぎ、気づけば朝食で食堂が賑わう時刻だ。


「おい、そろそろ食堂が混む時間だ。手伝いはここまででいい。朝飯に行ってこい。」


「はい、ありがとうございます。」


ちょうどきりのいいところで終わらせると、クレアは紅茶セットを片付け、執務室を出ようとした。


「おい、まて奇行種。」


呼び止められ振り返ると、リヴァイは書類に視線を落としたまま話始めた。


「ハンジから聞いてるとは思うが、夜は一人で出歩くなよ。新兵入団後の壁外調査前は、少し不安定になるやつが出てくるからな…くれぐれも気をつけろよ…」


またその話か。
壁外調査前とてみな一緒に厳しい訓練を受けてきた仲間達だ。そこまで警戒する理由が、クレアにはなかなかピンとこなかった。


「大丈夫です。昨日からハンジさんが部屋の近くまで送ってくれてます。それにこんな奇行種、誰も手をだしたりしませんって」


クレアは自虐的に笑うと、執務室を出ていった。


「チッ、何もわかってねぇヤツだな…」


クレアは入団したての頃は感情表現の少ない兵士だったが、このところはよくしゃべり、よく笑う様になった。
そうなると、まわりの男達の見る目は当然変わる。
ことにあの容姿だ。蒼い瞳に蜂蜜色の長い髪、細くて白い手足。
ビスクドール顔負けの姿に、目を奪われない男などいないだろう。

クレアのいないところで、色々と男兵士達の話題に上がっているのを、リヴァイは抜かりなくチェックしていた。

初陣を目前に、間違いを起こす新兵がいないとも限らない。
リヴァイは男に対して鈍感なところのあるクレアを心配してはいたが、自分の班の兵士ではない。そのため、とりあえずはハンジに任せておく他なかった。



クレアは朝食を早々に済ませると、愛馬デイジーを蹄洗場に繋ぎ、馬装の準備をしていた。

午前の訓練は愛馬と一緒に立体機動の訓練だ。


愛馬にブラシをかけていると、遠目によく知る人物の姿が目に入った。


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