第58章 奇行種の魅力
シャワーに起こすのは流石に無理だろうと判断したリヴァイは汚してしまった腹部と汗をかいた顔周りを軽く拭いてやると、自身はシャワーを浴びるため一度ベッドを離れた。
シャワーを浴び、髪を拭きながら出てきたリヴァイはカーテンを少しだけあけて外を見る。
月は空高くまで昇っており時計に目をやれば日付が変わっていた。
「……………」
この部屋に戻ってきてクレアを押し倒したのが夕方だった。
食事の事も明日の事も何も考えずにひたすらにクレアを抱いたリヴァイの身体は、心地良い倦怠感に満たされていた。
クレアが意識を飛ばすまで抱いたのはいつぶりだっただろうか。
もう思い出せない程前である事は確かだ。
クレアが今日休暇を取ってくれたのは、ある意味でベストタイミングだった。
そんな事を考えながらベッドで眠るクレアの方を見ると、その口元が微かに動く。
「リヴァイ…へいちょう…大好き……へいちょうは…ずっと…わたしの…モノ…」
身じろぎをしながら漏れ出た言葉は自身に向けられた、極上に甘い恋慕の想い。
胸元ははだけ、その白い肌には無数の赤い所有印。
捲れたスカートからは細い脚が2本、クタリと力なく横になり、そのつけ根は情事の余韻で溢れた愛液で濡れている。
カーテンの隙間から入る月明かりに照らされたそんなクレアの姿は、絶景なんて言葉等では言い表せない程の高揚感をリヴァイに与えた。
「これが俺にとっての“理想郷”ってやつだな…」
フッと口角を上げてリヴァイは呟く。
奇行種クレアは、大好きな物を腹いっぱい食べると“理想郷”なるものが見えると言っていた。
リヴァイ自身には無縁の事だろう思っていたが、よく考えてみればリヴァイの好物はクレアだ。
その身体を満足するまで貪った結果見えたモノ。
それはそれは額に入れてとっておきたい程の理想郷だった。
「試してみた甲斐があったな。」
心底満足したリヴァイはカーテンを少しあけたままベッドの中へと入った。