第58章 奇行種の魅力
ベッドに横になると、月明かりに照らされた蜂蜜色の長い髪を撫でてやる。
激しい情事で乱れてしまった髪を整えるようにリヴァイは優しく何度も撫でた。
すると、その手が気持ちよかったのか、まだ少し息を上げて眠っているクレアの口元が微かに上がった。
「……………」
気持ち良さそうに微笑みながら眠るクレアの姿はなんと愛しい事か。
「こんな風にお前を抱けるのは…今度はいったいいつになるんだろうな……」
まったく先の見えない状況に小さくため息をつく。
すると……
「……へいちょう……好き……」
そう呟いたクレアがモゾモゾとリヴァイを求めるかの様に胸元にすり寄ってきた。
「……クレア…そんな無防備に挑発すると……また襲いたくなるだろうが……」
リヴァイは調査兵団の兵士長。
だが、その前に1人の男であり1人の人間。
どんなに先が見えなくても、どんなにクソみたいな状況でも守り抜きたいと強く願うのは愛しいクレアの命。
この“理想郷”を見るためならまた明日からも頑張ろうという意欲も自然と湧いてくるから恋とはなんとも不思議な代物だ。
「遅くなっちまったが…誕生日…おめでとう。また、明日な…」
リヴァイは愛しいクレアの額に触れるだけのキスを落とすと、ギュッと抱きしめキンモクセイの香りと共に眠りについた。