第58章 奇行種の魅力
「あっ……」
急にリヴァイの歩くスピードが上がったため、クレアもその腕を引っ張られながら速度を上げて歩き出す。
急にどうしたのだろうか。
「へ、兵長…?ど、どうされましたか?」
「帰る…」
まだ空は明るかった。
もう少しデート気分を味わいたかったのだが、リヴァイは急に帰ると言い出した。
もしかしなくても、今の自分の発言を不快に感じたのだろうか。
やはりこんな欲まみれの感情など、言うべきではなかった。
そう思った時だった。
「……、早く…2人きりになりてぇ……」
「え……?」
「お前、自分で言ってて自覚なしか?ったく無自覚鈍感奇行種はコレだから困る。いや非常に困るんだが…」
いったいどういう事なのだ。
クレアはリヴァイの言ってる事が分からず歩みを止めてしまった。
急に歩くのをやめたクレアにリヴァイも止まり振り返ると、目の前には戸惑った表情が不安げに瞳を揺らしていた。
「あ、あの…兵長、私、分かりません…兵長は今、私の言葉に気分を害されたのではないのですか?」
「………」
なんでそうなるんだ…
リヴァイは今日何度めかのため息を盛大についた。
そしてクレアと向き合い視線を合わせる。
「気分を害する?いったい何の話だ。」
「わ、私が…欲張りだと言ったからです。誰にも渡したくないと、独り占めしたいと言ったから…兵長は早々に帰りたくなったのではないのですか?」
「はぁ…お前はどこまで鈍感なんだ。まぁ帰ると言ったのは確かにお前の発言した言葉のせいだ。ただ、意味が違う…お前の独占欲にまみれた発言に俺の欲望が煽られて早くもヤリてぇと思ったまでだ。」
「ヤ、ヤ、ヤリ…ってへ、兵長…!?」
「まだ明るいからもう少し歩いていても良かったが、お前のせいで無理そうだ。」
「そ、そんな…」
「俺が怒ってないと分かればいいんだろ?ほら、さっさと歩け。1分でも惜しい…」
「あっ…!!」
リヴァイはクレアの手を取ると、再び急ぎ足で歩き出した。