第58章 奇行種の魅力
「生きる事も戦い…か。悪くないな…」
フレイアの妹らしい決断に、エルドを失ったリヴァイの気持ちも随分軽くなった様だ。
「………」
そんな話をしながらあてもなく歩いてあると、とある露店が気になりリヴァイは足を止める。
「…兵長?どうしましたか?」
「い、いや……」
リヴァイは路上に敷物を敷いて、小さな椅子に腰掛けている老人の露店が妙に気になり足を止めたのだが、自身でもその理由がよく分からなかった。
「?…兵長……?」
敷布に並べられているのは、指輪やネックレス等の若い女向けの小物だった。
こんな露店に並んでる商品など、どれもこれも安物だろう。
しかし、リヴァイは何かに引っ張られるように商品の近くまでクレアを連れて行くと、しゃがみ込んでマジマジと見てみた。
「いらっしゃい!!ゆっくり見ていってくれ。」
痩せた老人男がしゃがれた声で2人そうに言うと、リヴァイは黙って頷いた。
「…………」
クレアに何かを買ってやるなら、指輪でもネックレスでももっと良い店で買ってやるべきだ。
何もこんな道端で商売している貧乏商人の露店で買う事はない。
だが、どうしても気になったリヴァイは隅から隅まで並べられている物を見ると、とある1つの指輪に胸がドクンと高鳴り、気づけば手に取っていた。
「これは……」
金色の細い指輪だが、軽さからいっても純金ではなくメッキだろう。
しかし、その中央には透き通るようなオレンジ色の石が乗っており、その石を支える台座は小さな4枚の花びらの様な形をしていた。
リヴァイにはこの指輪の装飾がキンモクセイの花のように見えた様だ。
「あっ…兵長、それ、キンモクセイの花みたいですね?」
「!?」
隣にしゃがんでいたクレアも同じ様に感じた様だ。リヴァイの手の中にある指輪を見たクレアは、にこにこと見つめたいた。