第58章 奇行種の魅力
窓際の席に案内された2人はイスにかけると、早速メニューに注目だ。
テーブルの真ん中に置かれた縦長の四角いメニュー。
それを食い入るように読むリヴァイとクレア。
・木苺のカスタードタルト
・完熟苺のレアチーズケーキ
・生クリームをふんだんに使った贅沢ショートケーキ
・3種のベリーの牛乳ババロア
・小粒苺のミルフィーユ
etc………
メニューを読んだだけで大量の砂糖を想像したリヴァイは、軽く胸焼けを覚えてしまう。
それとは正反対にクレアは魅惑的な名称に心躍り目を輝かせた。
「クレア…」 「兵長!!!」
お互いがお互いに名を呼び顔を上げると、テーブル中央に置かれたメニューを凝視していた2人の顔は至近距離。
目の前には眉間にシワを寄せたリヴァイと、目を輝かせているクレア。
「す、すみません!!!」
限りなくゼロに近い距離に驚いたクレアは慌てて背筋を伸ばして座り直した。
顔を真っ赤にしながらなんとか深呼吸をして平常心を取り戻すと、クレアの頭の中には1つ疑問が思い浮かぶ。
「あの……兵長、どうしてここへ?」
甘い物はあまり好んで食べないリヴァイが、何故こんな場所を知っていて、何故自分を連れてきたのだろうか。
キラキラと輝いていた表情は、突如わいた疑問で少し真顔になった。
「……………」
しかしクレアのその質問に今度はリヴァイの頭の中が疑問符だらけだ。
甘い物は好まない自分が連れてきたとなれば理由は1つだろう。
どこまでクレアは鈍感なんだと、リヴァイは呆れて一瞬言葉を失ってしまった。
「あの……兵長??」
だが、大きな蒼い瞳を不安げに揺らしながらリヴァイの顔を覗き込むクレア。
リヴァイは若い女達で賑わう店内に似つかわしくない程の盛大なため息をついた。